16th
24日のことを書く。昼過ぎに駅で待ち合わせて、私のうまれた場所の近くへ行って、なんてことのない雑貨屋だとか本屋を眺めたあと、また駅に行った。ずっと乗りたかった電車に乗った。いつも見ているだけの赤いラインの入った車両。顔がへんに現代的でくすっとした。街中をぐーんと進んで橋をいくつか越えて終着。時速126kmの夢。そのまま引き返して日が暮れた。地下のライトも非日常だった。
都心に戻ってきてもまた電車。JRでも京葉線なんてふだん乗らないし新鮮。千葉のポートタワーまで行って夜景を見た。飾り物のような都市の姿に、おおげさでなく胸が震えたとおもう。好きなひとと、恋人と視ているからという理由で感動したわけではなくて、血や肉をおもうように、延々と続いてきたひとびとの命の流れをおもった。生きていると。くだらないけれど、ビルも家も車のライトも工場の明かりも、じーっと東京湾を眺めているクレーンのかたちも、なんだかとても小さくて、生きているなあと。あっとうされてしまった。平坦だったこの場所に折り重なり降り積もってきたものについて。こっそりと息をしながら幻のようだなあと、感じた。もちろんとなりにいるひとのことも考えたよ。だまってついていくだけの私だからひたすらにリアクションはオーバーでね。ずーっと、どく、どくん、っていうのが手のひらから脈々とひびくのがわかって、それはそれで神秘的でした。すべて絡み合っていて自分たちも部品なのに。こわいな。こわいし、奇跡的だとおもうし、そして、とてもとても幸福だとも。なにか大きなものに包まれながら些細なよろこびに頬が緩むこと。わすれられないだろうな。私の表情をたしかめると恥ずかしそうに笑った。全然きれいじゃない指先ですこし触れた。ここでもう、だめだった。もうだめなんだ。わすれられない。