17th
○月×日
地下鉄の飯田橋駅、神楽坂下出口から地上に這い出し、お濠端の見晴らしのいい直線道路に出たところで、突然息子が猛ダッシュし始める。3歳児の脚力にはかなわない。
日仏学院でメルヴィル。「ある道化師の24時間」「マンハッタンの二人の男」。「ある道化師~」は短篇。無字幕で、貸し出し用のイヤフォンで同時通訳を聞く形式。息子にもイヤフォンをつけてやろうとしたら、「耳がかゆくなるからいい」と拒否、堂々無字幕のまま鑑賞していた。「マンハッタンの二人の男」では、ニューヨークの夜景に敏感に反応しているようだった。メルヴィルはいつ見ても話がわかんねーなーとぼやいてしまったわたしよりも、よっぽど映像派である。
○月×日
某所でスパイク・ジョーンズ「かいじゅうたちのいるところ」親子試写会。開映前のロビーには、かいじゅうたちの着ぐるみさんたちがうろうろ。子供に媚を売ったりするでもなく、缶コーヒーを飲んだりタバコをすったりしているのがいかにもスパイク・ジョーンズらしい(のか?)。せっかくだから触ってこい、と命じて、かいじゅうたちのところに押しやる。わたしも触ってみたが、体毛のやわらかく湿った感じとしっとりとした重量感が、シフォンケーキだかパウンドケーキだか若杉公徳だか、ああいったものを思わせた。
いざ映画が始まると、息子は、さきほどロビーで見たかいじゅうたちと映画の中のそれらとの折り合わせをどう付けたらいいのか分からず、困惑しているようだった。具体的には、ややこわがっていた。
帰宅後、かいじゅうごっこ(寝ているわたしの上めがけて、息子がものすごい勢いでジャンプ&ダイヴ)をせがまれる。ひとしきり応じるが、大人には大人のかいじゅうごっこがあるので、早々に切り上げさせる。
○月×日
どこで聞きつけてきたのか、「イングロリアス・バスターズ」を見たいとせがまれる。あれはR15指定だからあと12年待て、といったら死にそうな顔をしていた。
○月×日
バルト9で、「パブリック・エネミーズ」。さすがに退屈したらしく、途中で小声で、「このひとは何番目にえらいの?」と聞いてくる。ふだんは劇場でのマナーはよいほうなので、珍しい。「あの銀行強盗をするひと? あのひとはしゃかいのてきナンバー1だよ」と教えてあげると、「ちがう、このえいがをつくったひと」とのこと。マイケル・マンはアメリカで何番目くらいに偉いんだろうか? わたしが教えてほしい。
結局、映画の前の、内臓をむき出しにした男がタンバリンを持って踊る映像がいちばんおもしろかったみたい。なんたること。そういえばピクサーのなんだかを見に行ったときも、ロゴというかあのデスクライトのキャラクターに大爆笑していたっけ。
ちなみにわたしは、マリオン・コティヤールの熱演を認めつつも、脱いでないところと、おしっこをもらした描写がおとなしすぎることがやや不満。